令和4年の秋祭り
多度津町山階の春日神社の秋祭り(秋季例大祭)は、コロナ禍により3年連続の縮小となりました。
昨年と同様に神幸(神輿渡御)は中止となり、獅子舞奉納についても神社からは中止の案内が来ました。しかし、昨年より進展したこともあります。
今年はお神楽が奉納されました。
お神楽の準備
昼過ぎに神社にお参りすると既にお神楽の準備がされていました。
拝殿から神楽台へ木組みの橋が渡され、神楽台にはゴザが敷かれていました。笹が四方に供えられ舞台ができています。
神楽台
お神楽の舞台である神楽台は高さ約80cm、幅約4m四方の石造りです。この石の神楽台は今から48年前の昭和49年(1974)に設営されたもので、それ以前は祭りの度に集落内の大工さんが氏子と共に木で組み上げていました。神楽台については境内探索でも紹介しています。
神社幟
拝殿前の広前には大きな幟が立てられています。お旅所である若宮神社にも幟が立てられていました。
宵祭り(宵宮)
山階の春日神社では秋祭りの前夜に宵祭り(宵宮)があり、そこでお神楽が奉納されます。
夕方になると境内を囲う玉垣を含めて80基以上の石燈籠が点灯し、拝殿や随神門の提灯にも御神燈が灯され宵祭りが始まります。
夜に行われるのは夜に神様が降臨されると信じられているから。そのため宵祭りが本祭であるという考え方もあるようです。
お神楽の奉納
お神楽の奉納は夜6時から始まりました。今年は例年にはない笛が追加されたようです。定点カメラで撮影した動画をノーカットで公開しておりますので興味のある方はご覧ください。
山階の春日神社で神事を行なっているのは大握氏。善通寺市の吉田八幡神社の宮司さんです。他にも数人、神職の方が来られていました。
鈿女の舞
お神楽にあまり詳しくないのですが、鈿女の舞らしき舞がありました。
鈿女とは天鈿女命という神様のこと。日本神話に登場する有名な神様で芸能の神様としても知られています。
鈿女の舞は天照大神がお隠れになった際に、天の岩戸から誘い出そうとする舞です。
お神楽鑑賞会
上小原獅子組では山階のお神楽を鑑賞する機会はほとんどありません。それはお神楽が行われる宵祭りの日は村遣いをしているから。
村遣いとは氏子の各家を獅子舞を奉納してまわる風習で、上小原獅子組では約70戸の家で獅子舞を奉納します。地区内の企業や店舗でも奉納するため、この日に行なう獅子舞奉納は80回を超えます。朝の5時からはじめて、終わるのは夜の7時ごろ。既にお神楽は終わっていて普段は見ることはできません。
今年はコロナ禍により村遣いも中止になったため、上小原獅子組有志によるお神楽鑑賞会を開きました。
村遣いができなかったことは残念ですが、貴重なお神楽を鑑賞できたのは幸いでした。
氏子付け
お神楽の後は、氏子付けが随時行われていました。
氏子付けは子どもが生まれた時に、自分の守り神である氏神様のところに連れて行き、新しく氏子に加入したことを神前に報告する儀式。
氏神様に護ってもらえるよう子どもの健やかな成長を願うものです。最近は氏子に入るという意味合いが薄れ「お宮参り」の方が一般的かもしれません。
コロナ禍の神事
秋祭りは3年連続の縮小となりましたが、神事は毎年欠かさず行われています。
現代の「祭り」は人が集まって催し物をする娯楽的な意味合いが強くなっていますが、本来の祭りは神事のことを指します。よく「コロナで祭りが中止になった」という声を聞きますが、それは人が集まる催し物が中止になっただけで、祭りは行われたということでもあります。
神事(祭り)で大切なのは信仰心であり、人々の幸せを願う気持ち。それがなくならない限り、祭りは続いていくのでしょう。