獅子舞中止(令和3年)
朝晩が涼しくなってきましたね。神社の片隅では彼岸花が揺らいでいます。
獅子組にとってはヨナラシ(獅子舞の稽古)で忙しい時期ですが、今年は閑散としています。新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、今年も上小原獅子組の獅子舞演舞は見送られることになりました。
10月の第1週目にある山階・春日神社の秋祭りではお神楽や獅子舞奉納、神幸(神輿渡御)は行われず、神事のみとなる見込みです。楽しみにしてくださっていた皆様には誠に申し訳ございません。
また来年ご案内させていただきますので、今後とも上小原獅子組をよろしくお願い申し上げます。
伝統を繋いでいくために
私たちの獅子舞は2年連続の中止となりました。獅子舞の稽古をする機会も減っています。芸がいくら体に染み付いているといっても技術の低下は避けられません。
さらに影響が大きいのは太鼓打ちと呼ばれる子どもたち。太鼓打ちができる年齢には制限があるため、休止期間が長くなると祭りを知らない子も増えてきます。太鼓打ちは大人になっても幼い頃の楽しい思い出として残るもの。貴重な機会が失われていることを残念に思います。
上小原の獅子舞は昭和30年代に舞手不足によって失われそうになったことがありました。しかし地元の有志の力で復活し、今に受け継がれています。気持ちさえ途切れなければ伝統を繋ぐことはできると信じています。
奇しくも数年前から獅子舞を動画で記録、インターネット配信していたこともあり、練習は個人でもできなくはない状態になっています。それを補助する獅子舞の手引書の作成も進めています。獅子舞はヨナラシによって受け継がれるものですが、それができないなら別の形で受け継いでいくしかありません。
しかし、それでは受け継げないものもあります。舞の微妙な間の取り方などは、演者が集まって打ち合わせしてはじめて掴むことができるものです。
また、獅子舞は地域コミュニティの柱のひとつでもあります。近くに住む者同士が楽しく交流することは、豊かな地域社会には欠かせないものです。
上小原獅子組では近日中に獅子舞道具の手入れのため、今年もコロナ対策をした上で集まる予定です。
- 道具のお手入れ(昨年の様子)
獅子舞の価値を高めよう
今のコロナ禍は、自分たちが受け継いでいる民俗芸能を正しく理解する良い機会ではないかと思います。
今までは「昔からやってるから当たり前」という認識でしたが、どのような歴史や意味があるのかを知ることで獅子舞の魅力を引き出し、舞い手としても意欲を高められると考えています。それを調査・研究するのは時間に余裕がある今がうってつけです。
調査内容はこのサイトで不定期に発信してまいりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。