拝殿・幣殿の修繕
春日神社の拝殿・幣殿の屋根が工事により修繕されました。
修繕の経緯
春日神社の拝殿・幣殿は明和3年(1766)に建てられ、何度も改修を繰り返してきた歴史があります。近年はシロアリ被害によって老朽化し、酷い雨漏りに悩まされていました。2018年頃からは屋根にブルーシートを掛けて凌いできました。
屋根の修繕には多額の費用がかかっています。経済事情の芳しくない中にもかかわらず修繕することができたのは、山階氏子中のご温情とご寄進によるものです。
工事中の拝殿・幣殿
工事が始まったのは2023年5月初旬。拝殿・幣殿のまわりには足場が組まれ、約1ヶ月間の工期で進められました。今年は雨の日が多く、屋根の修繕作業も大変だったと思います。
6月10日には工事が無事終了し、6月15日には足場も解体されました。
屋根修繕工事
屋根の修繕工事によって拝殿・幣殿がどのように変わったのか詳しくご紹介していきます。
木工事
まずは屋根の木材。拝殿の四隅(東西南北)の棟が修繕されました。
シロアリや漏水によって腐っていた木材はヒノキで新調。
出桁・腕木など腐っていなかった木材はそのまま再利用されています。
北棟の木工事
隅垂木・垂木の入れ替え、野地板の張り替えにより、炊事場の屋根の上に落ちていた隅棟が復旧しました。
東棟の木工事
隅垂木と垂木7本の入れ替え、野地板の張り替えが行われました。腕木を支えるための持送りが無くなっていましたが、新調により復元されています。
南棟の木工事
隅垂木と垂木6本の入れ替え、野地板の張り替えが行われました。持送りのひび割れも修復されています。
西棟の木工事
隅垂木と垂木は再利用し、野地板のみ張り替えられています。持送りのひび割れも修復されました。
板金工事
雨漏りの原因になることが多い雨樋も板金工事によって修繕されました。
登り谷(斜めに水を流す樋)3本、横谷(横に水を流す樋)1本、合計4本の雨樋が入れ替えられています。
雨樋の入れ替え
雨樋は錆びた銅板から、錆びに強いカラーステンレス板に変更されています。
棟瓦の復旧
雨樋の入れ替えに伴い、幣殿に併設されている神饌所の棟瓦も復旧されました。
瓦工事
瓦は破損したものだけを新瓦に差し替え、既存の瓦がそのまま再利用されています。
下り棟・隅棟の巻き直し
巻き直しとは瓦を一度撤去し、点検・補修・清掃をした上で土台を作り直して再設置する工事です。
下り棟・隅棟の巻き直しにより雨漏りの原因となる瓦のずれや歪みが修復されています。
のし瓦のずれも綺麗に修復されています。
拝殿の四隅(東西南北)の棟がすべて巻き直しされました。
地瓦のコーキング留め
拝殿・幣殿の地瓦は全体的にずれが直され、コーキング材で補強されています。
フォトライブラリ
最後に工事後に撮影した写真を何枚かご紹介します。
今回の工事は修繕ですので見た目に大きな変化はありませんが、細部に補修・補強が施されていることがわかります。
山階にお住まいの方でも春日神社の社殿をじっくり見たことがある方は少ないと思いますので、ぜひこの機会にご覧ください。