獅子舞道具 「幟・吹流し」

多度津町山階・春日神社 秋季例大祭 幟と吹流し

獅子舞道具のご紹介、第3回目は「幟」と「吹流し」です。

ノボリ(幟旗)

多度津町山階・春日神社 秋季例大祭 幟 上小原獅子組

幟は獅子組がいる場所を示す「目印」であり、獅子組を「象徴」するものです。

それだけであれば街中で見かける幟と大差ないのですが、一般的な普通の幟とは本質的に違います。それはこの幟が人のためというよりは、神様のためのもの、神事の道具でもあるというところです。

神社に立てる幟は神様が天から降りてくる時の目印であり、神様に依代ヨリシロにしてもらうためのものらしいですが、それに近いかもしれません。私たちの幟は神様に獅子舞を捧げるための道具でもあります。

なぜ獅子組が幟を持つようになったのか、由来は不明ですが、幟の形状や使い方は周辺の獅子組と統一されています。高さは約6〜8m。赤い厚手の木綿布に、黒色の乳(竿を通す部分)をつけ、竹竿に通します。竿の先には御幣をつけます。そして、獅子組が移動する時は、必ず幟からと決まっています。

吹流し(吹き流し)

多度津町山階・春日神社 秋季例大祭 吹流し 上小原獅子組

一般的に吹流しは風向きを見るための道具です。しかし、獅子舞道具としての吹流しの目的や由来などは継承されていません。

カラフルな吹流しの起源は古代中国の「五行説」に基づく5色「青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)」とされています。それぞれの色は万物を構成する5つの元素「木・火・土・金・水」を表し、その相互作用が魔除けの効果を生むのだそうです。ただ周辺の獅子組を見る限りでは必ずしも5色というわけでもなく、配色も統一されていません。

これは推測ですが「ある獅子組が何かをきっかけに吹流しを使い出し、それを他の獅子組がまねるとき、差別化を図るためにわざと配色を変えたのではないか」と考えています。そうなると吹流しは魔除けというより、幟と同じように「目印」としての役割を持つ道具となります。幟の色はどの獅子組も同じなので、吹流しの色を変えたらわかりやすい目印になると考えたのかもしれません。

上小原獅子組の幟と吹流し

幟は、赤地に金色の文字で「奉献春日宮 上小原組」と入っています。文字は刺繍ではなく染めです。刺繍よりも軽いため、風にたなびきやすくなっています。竿先の御幣は金色です。

吹流しは、赤、白、紫、白、黄の5枚の一反布を縫い合わせ、半円状にして竹竿に吊るしています。竿先の御幣は銀色で、幟と対になっています。

少なくとも明治時代から同じ形を継承しており、幟は昭和57年(1982)に新調。吹流しは平成26年(2014)に新調したものです。

希少な文化

獅子舞道具としての幟や吹流しは珍しいもののようです。
幟は多度津町、善通寺市、丸亀市の一部だけ。吹流しは多度津町の庄と山階だけの文化かもしれません。

庄と山階は隣接していませんが、山階には庄の獅子組から舞を継承している獅子組があります。さらに、山階の春日神社には天満寺が加わっていた時代があり、庄の天満神社と文化の繋がりがあっても不思議はありません。

そして、庄の天満神社には「子供馬」という独自の風習があります。菅原道真が国司になられたとき、馬を作って出迎えたことに由来するらしいのですが、もしかしたら吹流しもその時の装飾品だったのかな、と勝手な想像をしています。

詳しく調べたわけではないので、そのあたりの事情をご存知の方がいらっしゃいましたらぜひ教えていただきたいところです。

参考史料

  • 多度津町誌
    平成2年(1990) 
    多度津町出版、多度津町誌編集委員会/編
    P1055
  • 瀬戸内海歴史民俗資料館紀要 第12号
    平成11年(1999) 
    瀬戸内海歴史民俗資料館出版/編
    P18

幟と吹流しがつくる景色

幟と吹流しは大祭り前日の村遣いでも使います。幟を吹流しを持って氏子の家々を獅子舞をしてまわるのです。平屋の建物が多かった昔、幟や吹流しはとても目立ったことでしょう。

大祭り当日は、6組の獅子組の幟と吹流し(計12本)が風で美しくたなびきます。1年に1度しか見られない圧巻の景色です。ぜひ一度ご覧いただければと思います。

こいのぼりと同じ?

明日5月5日はこどもの日(端午の節句)ですね。こどもの日に揚げるこいのぼりも幟の一種です。しかも吹流しもついています。これは関係があると思って調べてみるとやはり共通点がありました。

こいのぼりの場合、竿の先につける天球が神様のための目印、吹流しは魔除けのためにあるそうです。

竿の長さも大きいものでは5mを超えます。なんでこんなに高く揚げるんだと思うことがありましたが、天から神様を呼び込むために必要な形だったんですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です